八木 ひでこ

栃木県大田原市議会議員 八木 英子(やぎ ひでこ)


トップベージ >> 六月議会一般質問の原稿(作成途中のもの)

謹んで災害のお見舞いをもうしあげます


※この原稿は作成途中のものです。
最終的な原稿ではありませんが、こちらには引用したリファレンスへのリンクがありますので、消さずに残してあります。

一般質問で当日使った最終的な原稿はこちら↓↓↓のリンクでお読みください。

http://hideko.yze.jp/gikai2.htm

また、実際の一般質問では、原稿と異なる部分もありますので、大田原市のホームページから議会の映像ライブラリの動画↓↓↓をご覧ください。ブラウザとしてIEを推奨しているようです。

http://eizo.ohtawara-city.jp/ub/viewer.aspx?CID=167

 

 

大田原市議会 六月議会 一般質問 6月10日(金)予定(作成途中)

今回の一般質問ですが、皆様からのたくさんのご意見をいただき本当にありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。多くの市民の皆様の期待を背負っていると考えると、心強くもあり、責任の重さも感じます。今回の質問は私だけの声ではなく、皆さんの声ですから、前もってホームページで内容を公表してから一般質問に臨むことにしました。

放射能問題については、国や県の対応等も日々変化しており、一般質問の事前通告を行った時点(5月24日)からも、かなり状況が変化して来ています。
私もまだ最終チェックの段階で、まだ半分ほどしか公表できませんが。残りの半分【1の(2)のD学校給食の対応について、1の(3)大田原市の農産物への対応、1の(4)災害対策マニュアル作成について】についても、できるだけ早い段階で公表します。

最近は久しぶりに学生に戻った気分で毎晩遅くまで、色々と勉強させていただいています。今夜もまだまだ頑張るぞ!

市の担当者もHPを見ているとのことですので、しっかりと読んで答弁の準備をしてくださることを願います。

平成23年6月8日22時30分
八木 ひでこ

1.大田原市の放射線に関する対応について

先ず、このたび東日本大震災により、被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げます。

さて、第一番目の放射線問題に係る質問に入る前に、私は、「国や県の方針なので」という答弁は期待していないことを申し述べておきます。大田原市は地方自治体(地方公共団体)です。地方自治とは、地方の運営について、国からの関与によらず、地方の住民の意志に基づき行うことを言います。日本の地方自治については日本国憲法第8章において定められており、今回の問題は、国や県の示した方針を鵜呑みにすれば済むことではなく、自立した地方自治体である大田原市として独自の方針、対応対策をとり、逆に国や県に対しても強く働きかけて行くべきでしょう。しかし、もし市が、国や県の示した方針をそのまま批准するならば、それは「国、県の方針なので」という責任転嫁した理由に基づくものではなく、市がきちんと検証検討した決定であり、その最高責任者である市長としての責任に基づく決定であるはずです。

また、以下の質問でかなり強い表現を使うことを前もってお詫びしておきます。しかし「本来はもっと強い表現で」というのが本心であることも申し添えておきます。

それでは質問に入らせていただきます。

(1)市民への情報提供について

@大田原市では、ホームページや広報誌も含み、一般市民に対する放射線情報が遅く、質も量も圧倒的に不足しています。特に、市の公式ホームページでは、検証されていない不適切な放射線に関する情報が記載されており、市民に対する情報提供として、良く言えば説明不足、悪く言えば情報操作や隠蔽ともとれる記載が散見されます。市民の安全安心を守る大田原市として、隠蔽のない、より正確で、迅速な情報の発信を望みますが、市としての考え方をお伺いします。

先ず、「環境放射能の状況について」のページについてですが、、
http://www.city.ohtawara.tochigi.jp/9,9648,59.html)の記載では、
自然放射線による年間線量2,400マイクロシーベルト(胃のX線集団健診4回分相当)となっています。大田原市の示す上記の値は世界平均であり、日本のものではありません。

自然放射線による年間線量は場所によって異なります。
東京電力も含む電気事業連合会のホームページ
(http://www.fepc.or.jp/learn/houshasen/seikatsu/shizenhoushasen/index.html)
によると、原発事故以前の日本の自然放射線による年間線量は、0.99ミリシーベルトであり、世界平均の半分以下となっています。また栃木県の平均値は、1.00ミリシーベルト〜1.09ミリシーベルトです。

ホームページに記載する市としての公式見解であるならば、きちんと“世界平均”と但し書きをつけるべきであり、本来ならば日本および栃木県の値も併記するべきだと考えます。

第二に、危険数値について(目安)100ミリシーベルト(100,000マイクロシーベルト)となっていますが、その対象が誰なのか(大人なのか子どもなのか)、また基準が何なのか(時なのか、年なのか等、一生なのか)が明記されていません。仮に、大人100ミリシーベルト/年だとしても、何を根拠にして市の公式見解としているのでしょうか。

福島原発の事故以来、放射線の安全基準値は、専門家の間でも様々な意見に割れており、いたずらに危険を強調し不安を煽る説、現状の程度なら健康に被害がないという説、さらには、かえって健康に良いという説等、様々な情報が交錯しています。そのひとつとして「100ミリシーベルト/年」を安全の目安とする説もありますが、何の法的根拠もない、ただの意見にしかすぎません。

おそらく大田原市もこの「100ミリシーベルト/年」を安全の目安とする説を採用しているということなのでしょうが、この説を喧伝する学者等の理由付けは、「日本人の約半数はガンになる。年間100ミリシーベルトの放射線を被曝することによる発ガン率は0.5%しか上昇しない。つまり日本人のガンになる確率が50%から50.5%に上昇するにすぎない」ということです。

しかし、これを子どもに当てはめてみると、例えば、今3歳の幼児が、10年後(13歳、中学生になるころ)、0.5%(200人に1人)の子ども(市内の大きな学校で言えば、1学年に1人)が、小児ガンや小児白血病になるのを大田原市は容認するということになります。子どもの方が放射線の影響を受けやすいので、おそらくそれ以上の確率となると推測されますが、いかがでしょうか。

X線撮影で受ける放射線の量や、原子力発電所周辺の放射線の量については、人体への影響を心配する必要のない数値が国際放射線防護委員会(ICRP)によって勧告され、日本もこれを批准して、一般の人が受ける放射線の量は、自然放射線と医療を除き、「年1ミリシーベルト以下」と定めています。「年100ミリシーベルト」でありません。基準はあくまで、年1ミリシーベルト以下です。小さな子どもも含めた一般大田原市民の安全基準を、目安とはいえ100ミリシーベルトとするのは不適切であると考えます。訂正を求めます。

第三に、大田原市内の環境放射能の測定値の目安として、国際医療福祉大の管理棟前での測定結果を市のホームページで公表していますが、測定地点が一箇所では不足なのはもちろんのこと、最低でも機器の種類、測定ポイントの地表からの高さ、地表の状態(アスファルトなのか砂なのか等)、天気や風等の気象条件の記載がなければ、目安にすらなりません。公式に数値を発表するのであれば、測定条件等をしっかり記載していただきたいと考えます。

最後に、水田土壌中の放射性セシウムの調査結果についてですが、大田原市のホームページにおいては、「すべての土壌サンプルにおいて土壌中の放射性セシウム濃度が上限値の5,000Bq/kgを下回っていましたので、すべての水稲生産者のみなさまは、これまで通り安心して計画通りに田植え作業を進めてください」との記載だけで、詳しい結果報告(どこで、何箇所で計測して、何ベクレルだったのか)がありません。なぜ正確で詳細な数値等を市民に提供しないのでしょうか。

栃木県のホームページには測定値が記載されていますが、栃木県(経営技術課 土壌調査及び農産物の生産技術についての窓口 〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館12階 電話番号:028-623-2285)に確認したところ、各エリア(およそ市町村単位)において、それぞれ5地点で測定し、その中間値を発表したとのことです。大田原市の面積を考えても5地点の測定では明らかに少ないと感じましたが、念のため、測定した地点と数値を教えて欲しいと担当者に伝えたところ、「測定値はお知らせしますが、測定地点については協力していだいた地区の農家に対して、風評被害を避けるために発表しないとの条件で測定させていただいたので、お知らせすることはできません。また今後も発表することはありません。これが県の方針です。」との返答でした。
大田原市でも測定地点の公表はしない予定なのでしょうか。風評といいますが、正確な情報を公表することが風評被害につながるのでしょうか。大田原市民には正確な情報を知る権利がないのでしょうか。

県の担当者によると、大田原地区の水田の放射性セシウム(134、137)の合計(Bq/kg 乾土)の計測値は、上限値の1キロ当たり、5,000ベクレルに対し、低かった順に、

地点1(最低値) 486 ベクレル
地点2 687 ベクレル
地点3(中間値) 746 ベクレル(これが栃木県の発表値)
地点4 1,494 ベクレル
地点5(最高値)2,014 ベクレル
平均値 1085.4 ベクレル

となっています。

発表されたのが、中間値の746 ベクレル。
本来全ての数値を公表するべきだと思いますが、最高値の2,014ベクレルでも平均値の1,085ベクレルでもなく、あえて中間値の746 ベクレルを公表したところに作意を感じざるを得ません。

ちなみに、お隣の那須塩原地区では、

地点1(最低値)1,003ベクレル
地点2 1,473ベクレル
地点3(中間値)1,826ベクレル(これが栃木県の発表値)
地点4 2,390ベクレル
地点5(最高値)3,130ベクレル
平均値 1,964.4ベクレル

です。

次に同時期の福島県内各市町村の土壌における放射性物質の測定結果(水田・転換畑放射性セシウム(134、137)の測定値ですが、現在放射線量が高いと懸念されており、様々な対策がとられている中通りに位置する市町村で、1キロ当たり、

(1)福島市 松川町浅川2,653ベクレル、
(2)郡山市875〜3,635ベクレル、
(3)白河市で843ベクレル

参考:福島県内各市町村の土壌における放射性物質の測定結果(水田・転換畑)
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/05gensiryoku/230406data.pdf

となっています。

上記の値を見ると栃木県北部は、福島県の中通りと比較して、土壌の汚染レベルに大きな差がないことがわかります。大田原市はおよそ白河市と、那須塩原市はおよそ郡山市と同等の値となっています。基準値を下まわったという記載だけで、市はなぜ具体的な数値を市民に公表しなかったのでしょうか。汚染レベルが福島県と変わらないという事実を隠したかったのでしょうか。

参考までに福島県が発表した2011年4月5日〜7日にかけて県内の幼稚園・保育園・小中学校などの校庭1,600箇所以上で系統的に測定された地上高1mでの放射線量率の地域分布図を示します。

http://twitter.com/#!/Ishihara_Y/status/57971802038730752
オリジナルデータ(福島県)
http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf

図を見ると爆発後風に乗って北西(福島市方面)に流れた放射性物質が、山にぶつかり、その後、山の麓に沿って(およそ東北自動車道やJR東北本線上を)南下したように見て取れます。単なる行政単位である県境を越えただけで、この福島中通りの延長線上に位置する栃木県北部の市町が、安心して良いということにはならないはずです。

A 緊急時における市民への情報発信について何か対策を考えているのかお伺いします。

東京電力福島第一原子力発電所、または別の原子力発電所において、今後再び爆発が絶対に起こらないとは言い切れません。また、今回の震災を上回る規模の震災が今後発生する可能性もゼロではありません。

現在大田原市では公式ツイッターのアカウントにより情報の発信をしていますが、これだけでは不足ではないかと考えます。またデジタル的な手法だけでなく、アナログ的な手法も必要ではないかと感じますが、どのような対策を考えているのでしょうか。

(2)教育機関等における放射線量の調査および対応について

@ 大田原市独自での放射線量の測定機器(空間、土壌、食品、水等)を購入し、できるだけ多くの場所で継続的に放射線量の計測する考えは無いのか、お伺いします。

現在、福島県の中通り(東北自動車道、JR東北本線沿いの市町村)では比較的高い放射線量が測定されていることについては前述した通りです。同じ沿線に位置する栃木県北の市町も、対岸の火事とはいかないはずですが、福島県の市町村に比べて大田原市の対応は遅れていると言わざるを得ません。

福島県ではすべての学校等で1cmと1mの高さで放射線量を計測しています。また郡山市では子どもの被曝量を減らすために、市立の小中学校と保育所計28施設の校庭の表土を削る作業を市独自で行いました。地表付近で除去前に毎時3.3マイクロシーベルトだった値が、除去後は毎時0.5マイクロシーベルトにまで下がったというデータも出ています。

私は、大田原市において一日でも早い幼稚園、保育園、学校等の放射線量測定と、校庭の表土を除去する等の除染の対策をゴールデンウイークで子どもたちが休みの間にと、4月中に、新江教育長に提言させていただきました。
その後、那須町での測定が始まってすぐに津久井市長にも那須町で導入したものと同じ型の測定器(ATOMTEX社・AT6130C)なら同じ納入業者から数に限りがあるが即日納入可能である等、より具体的な提言もさせていただきました。
しかし現在まで教育長からも市長からも回答をいただいておりません。

本来は大田原市として市民の健康と安全を守るためにも、早急に市内の放射線量の把握と対応に乗り出すべきだったと考えますが、既に事故から3ヶ月近くが経過しようとしています。
現在では那須町による調査、また栃木県による県内の教育機関等における放射線量の一斉調査や、民間での取り組みによって、栃木県北市町における相対的な空間放射性線量率の分布は、あらかた把握できるようになっています。しかし東京電力福島第一原子力発電所の事故は未だ収束しておらず、再び爆発が起きる可能性も否定できない状況の中、県で一度計測したからそれで良いという問題ではなく、今後も継続的に調査が実施されるべきであると考えます。日光市においても5月30日、放射線測定器を購入して市内全小中学校と公私の幼稚園・保育園計74カ所で、大気中の放射線量を毎日測定することを明らかにしたところです。

大田原市独自での放射線の測定に関しては、ここでお願いするまでもなく、当然の流れであると考えますが、前述の通り、大田原市内の相対的な空間放射線量率の分布は既にあらかた把握できており、また那須町のガイガーミュラー管式測定器による測定と栃木県によるシンチレーション式の測定器による測定で、機種による誤差も指摘されているところですから、民間でも購入可能な簡易式のガイガーカウンターで二番煎じ的に市内の空間線量率を測定してみるのではなく、より高性能な放射線測定器を導入するべきであると考えます。

また、現在の一般市民の心配は、(既にあらかた把握できている)空間放射線量率よりも、土壌や食品の汚染に移行してきており、大田原市民の健康を守るためにも土壌や食品・水等の調査(線量および放射性核種)を市として独自に行える環境を早期に整えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

A 文部科学省による放射線の安全基準(子どもは年間20ミリシーベルト)を受けて、大田原市ではどのように対応するのでしょうか。

文部科学省は、子どもの被曝の基準は「20ミリシーベルト年」、「校庭・園庭で3.8マイクロシーベルト毎時未満の空間線量率が測定された学校等については、校舎・校庭等を平常どおり利用をして差し支えない」という暫定的考え方を発表しています。

しかし、その文科省自身が、外部放射線に係る線量について、実効線量が3月あたり1.3ミリシーベルト(およそ0.6マイクロシーベルト毎時)を超えるおそれのある場所については放射線管理区域に設定するよう定めています。子どもの被曝を年間20ミリシーベルトまで許容するというのは、明らかに自己矛盾であり、違法です。

放射線管理区域とは、放射線による障害を防止するために厳重に管理されるべき区域で、法令により取り決められており、以下の処置を講じなければならないこととされています。また、管理区域内に立入る者に対しては、放射線防護の観点から、定期的な健康診断、教育・訓練等が義務づけられています。

1)関係者以外の立入りを禁止し放射線被曝を防止する
2)放射線モニタリング等を厳重に行い、被曝防護対策を行う
3)管理区域外への放射線の漏洩、放射能汚染の拡大を防止する
4)標識・柵等によって境界を明示・区画し、出入り管理を行う
5)被曝管理を行う

また、文科省が子どもの被曝基準線量として想定しているのは外部被曝(空間線量率)だけであり、内部被曝に関しては考慮されていません。子どもたちが校庭等で屋外活動をする場合、空気と一緒に放射性物質を含む土埃等を吸い込まないわけがありません。当然内部被曝が発生します。体内に取り込まれた放射性物質は蓄積していくので、内部被曝量は日々増加していきます。特にアルファ線源は外部被曝の場合の危険性が低い代わりに内部被曝では大きなダメージを与えるので、吸い込まないための対策が危急であると考えます。
その他、食物や飲料水からの被曝も発生します。先日、プルトニウムが福島原発敷地外から検出されたとの報道がありましたが、大田原市においては、より危険度の高いと言われるプルトニウムやストロンチウム等の放射性核種に関しては調査すらされていません。

この20ミリシーベルトという文科省の暫定基準について、内閣官房参与に任命された放射線の専門家ある東京大学大学院教授の小佐古氏は「政府の対策は法にのっとっておらず、場当たり的だ」と批判して辞任し、原子力安全委員会は「20ミリシーベルトを許容していない」と断言しています。

また社団法人日本医師会も「成人についてももちろんであるが、とくに小児については、可能な限り放射線被曝量を減らすことに最大限の努力をすることが国の責務であり、これにより子どもたちの生命と健康を守ることこそが求められている。国は幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入れ替えるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者に対して検討を進めるよう通知を出したが、国として責任をもって対応することが必要である。国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである。」として20ミリシーベルトを強く否定しています。
(「文部科学省 福島県内の学校・校庭等の利用判断における 暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解 
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110512_31.pdf

そもそも政府が根拠としたICRP(国際放射線防護委員会)の勧告
(パラグラフ5、http://www.icrp.org/docs/Fukushima%20Nuclear%20Power%20Plant%20Accident.pdf

及び、
ICRPバブリケーション111(パラグラフ48-50、
http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf

の原文を読んでみると、放射線汚染地域を放棄せず住民に住み続けることを許容する場合、年1〜20ミリシーベルトの範囲で、住民の保護を最大限に考慮して可能な限り低い値を設定し、長期的には年1ミリシーベルトに近づける努力をするべきであるとしています。

「Authorities will often implement all necessary protective measures to allow people to continue to live there rather than abandoning these areas.」「the Commission recommends that the reference level for the optimisation of protection of people living in contaminated areas should be selected from the lower part of the 1–20 mSv/year band」 「with the long-term goal of reducing reference levels to 1 mSv per year」

政府は、「年1〜20ミリの範囲」だけを強調し、その中で一番高い値である年20ミリシーベルトを設定しています。また、原文の中では「年1〜20ミリシベールトの範囲」ならば安全であるとは一言も述べられていません。

多くの反発の声を受けて、文部科学省は、

1)福島県教育委員会の協力の下,福島県内の全ての学校等に対して,積算線量計を配布する。これにより,児童生徒等の受ける実際の積算線量のモニタリングを実施する。

2)暫定的考え方で示した年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って,今年度,学校において児童生徒等が受ける線量について,当面,年間1ミリシーベルト以下を目指す。なお,引き続き児童生徒等の心身の健康・発達等に関する専門家等の意見を伺いながら,更なる取組の可能性について検討する。

3)「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」を踏まえ,更なる安心確保のため,文部科学省または福島県による調査結果に基づき,校庭・園庭における土壌に関して児童生徒等の受ける線量の低減策を講じる設置者に対し,学校施設の災害復旧事業の枠組みで財政的支援を行うこととする。対象は,土壌に関する線量低減策が効果的となる校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校とし,設置者の希望に応じて財政的支援を実施する。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1306590.htm

と発表しました。

「年間1ミリシーベルト以下を目指す」とした点と、その具体的な方策として「校庭・園庭における土壌に関して線量の低減に財政的支援を行う」とした点は一歩前進したと考えますが、対象を校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の福島県の学校と限定しています。これを受けて、栃木県は福島県と同様の措置を適用するよう同省に求めており、国の突然の方向転換に批判の声を高めているようですが、今回の問題で独自の対策対応を取れなかった栃木県にも国と同様の責任があると考えます。

これは大田原市も同様です。大田原市では国や県の方針を待つのではなく、子どもの被曝をできるだけ低く抑える為の対応対策は考えていないのでしょうか。

B教育機関等の除染については、校庭園庭、公園等の表土の除去。校舎園舎、プール等の洗浄等が有効であるとの実証データがでていますが、大田原市では実施する予定はないのでしょうか。

前述の通り、表土の除去に関しては、国は「校庭・園庭の空間線量率が1マイクロシーベルト毎時以上の福島県の学校」と限定おり、県も同様の措置を国に求めていますが、県の調査でも大田原市の教育機関では毎時1マイクロシーベルトを超えるところはなく、近隣の那須塩原市、那須町と比較すると低い空間線量率が測定されています。

しかし原発事故以前と比較すると高い数値となっており、目には見えないが放射性物質により土壌が汚染されているのは紛れもない事実です。
また栃木県の測定によると大田原市内のいくつかの教育機関は、前述した本来「放射線管理区域」として設定され管理されるべき基準、3ヶ月で1.3ミリシーベルト(およそ0.6マイクロシーベルト毎時)を超えている現状です。繰り返しになりますが、これは外部被爆のみの値であり、内部被爆を考慮するとさらに高い値になります。

子どもたちの健康、すなわち大田原市、栃木県、日本の未来を守るためにも、子どもたちの被曝量は少なければ少ないほど良いのは当たり前のことです。
大田原市としても、どのような除染方法が一番効果的なのかをきちんと調査し、市内全ての教育機関等において除染対策を早急に実施すべきであると考えます。

子どもの被曝対策は、国や県の方針が定まらないからと言って、後回しにする問題ではありません。私は、大田原市は法律違反を犯さないと信じています。子どもたちを犠牲にして、対策費用を節約する道を大田原市は選ばないと信じています。

また大田原市内で、既に独自に校庭等の表土の除去を実施した教育機関がありますが、除去した表土の最終処分が問題となっています。大田原市として、既に独自に対策をとった教育機関等に対し、すみやかに対応をとるべきだと考えます。

C 野外活動(運動場、プール等の利用等)を安全に行う方法を大田原市では検討しているのでしょうか。

特に屋外プールの利用について不安視する声が保護者から多く聞かれます。だからと言って子どもの活動をあまりに制限するのもかわいそうだとのジレンマもあります。プールは厳重に洗浄し、きちんと放射線量を測定した上での利用になるはずですし、大田原市の水道水に関しては放射性物質が検出限度以下となっていますので、水を張ったばかりのプールであれば、ある程度安心できるのではと思うのですが、時間が経つにつれ、雨や埃等でどの程度プールの水が汚染されて行くのかが分からないというのが、一番の不安材料です。私個人的には、危険度が分からない現状において屋外のプールの使用はできるだけ控え、市の屋内プール(市営、民間も含めて)の利用を推奨すべきであると考えますが、それぞれの考え方もあることと思いますので、少なくとも定期的な水の放射線量の調査と、例年よりも高い頻度での水の入れ替え、また、例えばプールを利用していない時間帯はシートでプール全面を覆い、雨や埃ができるだけ水に入り込まないようにする等の対策はあってしかるべきだと考えます。市および教育委員会ではどのような対策対応を考えているのかお伺いします。


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八木 ひでこ
大田原市議会議員
八木 英子(やぎ ひでこ)

栃木県大田原市本町2-2829-35
hideko@yze.jp